陸上短距離の練習で150m走や、120m走をする機会が多いですが、バックストレート側では、150m、120mともマーキングがありません。ホームストレート側でも150m位置のマーキングがありません。
直線コースであれば巻尺で簡単に距離が計測でき、マーカを置いたり、テープでマーキングができます。一方、コーナーでは、素人にはどのように計測したらいいかわかりません。
一人で練習することが多いマスターズの選手が、巻尺一個あれば、コーナー部分でも一人で簡単にマーカ設置やテープマーキングができるよう、
①代表的なポイントの座標をデータベース化
②マーカを置きたいポイントと基準となるポイントの直線距離をデータベース化
しました。
1 計算した陸上トラックの条件
以下の条件の陸上トラックの座標を計算しました(6項の適用範囲の表参照ください)
(1)1レーンのレーン半径(白線半径)37.898m(直線部分は80m)
(2)レーン幅1.25mおよび1.22m
(3)1レーンの白線部分が縁石であって、その高さが5cm
この条件の場合、コーナのレーン半径(白線半径)と計測半径(人が走ると想定した半径)は、以下式の関係になっています。
1レーン: 計測半径=レーン半径(37.898)+0.3m
2レーン以降: 計測半径=レーン半径+0.2m
陸上トラック規則の詳細については日本陸上競技連盟競技規則を参照ください。
2 座標計算したポイント
以下のポイントの座標を計算しました。
(1)基準ポイント(陸上トラック上にマーキングされている、400mハードル位置、800mスタート位置等)
(2)練習用にマーカを置きたいポイント(バックストレートゴールの手前-200m、-150m,-120m、-100m位置等)
座標の基準は第1曲線路の半径中心位置としました。各ポイントとその説明(凡例)図を以下に示します。
3 計算方法
(1)ポイントのレーン上の座標の計算方法
以下の順でポイント(基準ポイントまたはマーカーを置きたいポイント)のレーン上の座標の計算をしました。
ア ポイントから第一曲走路出口までの計測距離を計算。
イ ポイントから第一曲走路出口までの角度(rad)を算出。
(角度=ポイントから曲走路出口までの計測距離÷計測半径)
ウ レーン上のX,Y座標(X=レーン半径×sin角度, Y=レーン半径×cos角度)に変換する。
(2)ポイント間の距離データ
基準ポイントのレーン上の座標と、マーカーを置きたいポイントのレーン上の座標をそれぞれα(X1、Y1)、β(X2、Y2)とすると、SQR((X2-X1)^2-(Y2-Y1)^2))として直線距離を算出します。
計測距離とレーン上直線距離の関係は、下図のとおりです。
4 レーン幅1.25m場合の計算結果
(1)ポイントのレーン上の座標の計算結果
各種基準ポイント、および、マーカを置きたいポイントの座標を計算しました。
(2)ポイント間の距離データ
マーカを置きたいポイントと基準ポイントの、レーン上直線距離を計算しました。
基準ポイントとマーカを置きたいポイントのレーン上直線距離データはこちらです。
6 曲走路のレーン間の計測距離
通過タイム計測装置を曲走路のレーンに置いて使用する場合、内側のレーンの通過距離は、外側の通過距離に「レーン間の計測距離」を加えた値になります。
7 参考
(1)東京の公認陸上競技場形状データ
東京陸上競技協会のグラウンド&コースガイドに競技場の形状が掲載されてました。
以下の表で、今回のデータベースの適用範囲を確認ください。
表 データベースの適用範囲
(2)その他の陸上競技場の形状