<回路図>
下に回路図を示します。
マイコンは、指装着するため、および、電源スイッチのかわりにSLEEP機能で電源ON、OFFするため、8ピンタイプでSLEEP時の電流がたったの1nAのPIC12F675を使います。①マイコンの作動電圧が2~5.5Vであること、②液晶の作動電圧は3V以上必要なこと、③マイコンの出力信号を液晶の電源とすること、④使用中の電池の電圧低下の余裕を見ること、の4条件を満たすため、電源はLR1120のボタン電池を3つ直列に接続し、4.5V程度確保するようにしました。
そのままのマイコンのピン数では、すべての信号がまかなえないことから、液晶への電源供給と圧電スピーカの作動は同じピンで共用としました。 ダイオード、コンデンサ、3.3Vの3端子レギュレータを配置し安定した3.3Vを液晶に供給するようにしてます。
計時を行うので4MHzのクリスタルを接続します。マイコンからは、液晶への制御信号であるSCL,SDA、液晶への電源供給、圧電スピーカへの信号を送ります。 液晶は小型(30mm×19.5mm)のAQM0802Aという数字や文字の表示ができるものを使用してます。マイコンからSDA(Serial DAta input)とSCL(Serial CLock input)信号で、液晶の機能設定、データの表を行います。
<フローチャート>
フローチャートを下に示します。 スイッチ1つで練習時の操作、機能設定をする操作を行えるよう、スタート手順の中に、SETからスタートまでの時間間隔変更プロセス、および、各種機能設定プロセスを含めました。
(1)通常のスタート作動
ア 途中でスイッチ操作をしなければ以下の順で作動します。
①ON YOUR MARKと音
②機能設定をするかどうかの画面表示
③SET表示と音
④スタート音
イ スタート音後スイッチ操作をするとタイムを表示します。
ウ 設定時間になるとSLEEPに入ります(電源が切れた状態になります)。
エ スイッチを押すとアに戻って作動します。
(2)スタート時間間隔の変更
SETからスタート音までの時間は(1)エ項でスイッチを長押しすることで設定変更します。長押しするたびに、固定、ランダムと設定が交互に切り替わります。
(3)機能設定
機能設定表示がされている時にスイッチを長押しすると、計測できる回数(=画面に表示できる計測数)、電源オフまでの時間、計測遅延有無、液晶の濃度(コントラスト)の設定を行います。
<製作>
1 マイコン側基板の製作
製作例を示します。なお、複数の製作から写真をピックアップしてますので、スイッチの色等が写真毎に違っていることをご認識ください。
(1)基板の加工
汎用の両面基板を、写真のように切り出します。マイコン用切欠き、スピーカ用切欠き、ナット固定用穴を加工します。
(2)部品取り付け
主要部品を基板に配置した図を以下に示します。一部部品は干渉防止等のため加工しています。
基板に部品をはんだ付し、また、部品どおしを配線していきます。 配線は、すべて、表面を這わせ、裏面には、線を這わせないでください。
裏面は、液晶裏側と密着させる面となりますので、やすりで削って平らに仕上げます。
(2)液晶の加工
液晶の足は、基板側の配線と接続するよう左右に角度を付けて曲げます。
足は一本ずつ丁寧に曲げないと、液晶のガラスに無理は力がかかり、割れますので注意してください。
ピン3,4の間に1μFのコンデンサを取り付けます。
液晶の裏面に0.3mm程度の段差があるので、ここにビニールテープ等貼って段差を緩和させ、取扱いによる液晶の損傷をしにくくします。
(3)基板と液晶の組み付け
基板と液晶を組み付けます。両面テープをクリスタルの位置の裏面あたりに貼っておきます(全面に貼らなくても十分固定されます)、液晶と基板を合わせ、液晶の足と基板の対応する配線位置をはんだ付けします。 また、残っている配線を行います。
2 電池側基板の製作
電池とタクトスイッチを装着する基板です。
(1)部品準備
①タクトスイッチ:足を延ばます。
背側の一部には、キャッシュカードのようなプラスチック板を貼っておきます。
②ナット:M2のナットを基板のランドにかからないように加工しておきます。
③クリップ:配線サポート用です。
④待ち針1:プラス側電極です。写真のようにコ字とクの字に加工します。現物合わせで加工します。
⑤熱収縮チューブ赤:電池のプラス側電極の絶縁用に4つ切り出します。
⑥待ち針2:プラス電極です。こちらもコの字とクの字に加工します。こちらも現物合わせです。
⑦基板:ランド5×7個分の大きさで切り出します。写真位置の穴をφ2に拡大加工します。
(2)電極のはんだ付け
電極取り付けは作業し易くするよう以下の手順で行います。
ア プラス電極のはんだ付け
・LR1120の電池3つを重ね、側面はセロテープを巻き、上面、下面には両面テープを張る等し、
基板に置く。
・④⑥の電極は、⑤のチューブを通してから基板穴に入れる。電池と両面テープで仮固定しておく。
・電極と基板をはんだ付する。
イ 仮固定した電池を外し、マイナス電極をはんだ付けする
ウ 再度電池を入れて、電極位置を微調整する。
・プラス電極はややきつめに電池を押さえる状態にする。
・電池3枚が平行に積まれるようにする。
注:この状態が悪いと、使用中にリセットが掛ったり、電池がショートする等の不具合の原因になります。
(3)その他部品のはんだ付け
ナット、タクトスイッチ、配線サポート、配線のはんだ付けを行います。
3 組み付け
マイコン側基板と、電池側基板を接続します。
配線には、あらかじめ3~4mm程度に切ったφ1.5の熱収縮チューブを3つ通しておきます。
マイコン側基板と電池側基板の配線束ねに熱収縮チューブで固定します。
マイコン側基板にはφ25に熱収縮チューブ、電池側基板にはφ20の熱収縮チューブを用いて、それぞれカバーを作ります。
マイコン側の熱収縮チューブはそのままでは周長が短くて基板を覆えないので、わりと力をいれて伸ばします。基板の周りを囲み、ライター等を用いて熱を加えて収縮させます。その後、はさみで形状を整えます。
電池側は、熱収縮チューブで囲み、ライター等を用いて熱を加えて収縮させます。はさみで形状を整えます。 カバーを外しやすいように後部下側を切り取る等工夫してください。
注:けが防止のため、カバーは必ず取り付けてください。
指装着部分は、スティックのりのカバーを、カッター、はさみ、木工用ドリル(φ2.5)等で加工して作成します。
指装着部分、マイコン側基板、電池側基板を組み付けます。マイコン側にはM2×4mm、電池側にはM2×8mmを用います。ワッシャーは、ポンチ等でたたいて円錐形にすると、装着部分内側へのねじの出っ張りが少なくなり装着感がよくなります。
注:マイコン側(液晶画面側)に長いねじを使うと、ねじが液晶部分まで貫通して液晶が壊れます。
仕上がった状態です。
4 部品表
部品表を以下に示します。製作例の形態に合わせた形態(表面実装部品等)を指定してますが、ブレッドボードでの試作用にリード線タイプも準備する等、製作準備方法等に合わせて、準備部品を選定してください。
表 I2C接続液晶を使った指ストップの部品表 | ||||
部品名 | 個数 | 型番 | 備考 | |
基板 | 1 | 両面スルーホール AE-3G | 秋月電子 | |
圧電スピーカ | 1 | PKLCS1212E4001-R1 | SP1 | |
型積層セラミックコンデンサー | 2 | 22pF | C1,C2 | |
チップ積層セラミックコンデンサ | 2 | 1μF 2012サイズ | C3,C5 | |
2 | 1μF 1608サイズ | C4,C6 | ||
表面実装タイプ・クリスタル | 1 | 4MHZ | X1 | |
1/6W抵抗 | 1 | 10kΩ | R1 | |
マイコン | 1 | PIC12F675-I/P | U1 | |
I2C接続小型キャラクタLCDモジュール | 1 | AQM0802A-RN-GBW | U2 | |
3端子レギュレータ 3.3V | 1 |
XC6202P332PR-G または XC6216D332PR-G |
IC1 | |
タクトスイッチ | 1 | SW1 | ||
表面実装用ショットキーバリアダイオード | 1 | SS2040FL | D1 | |
熱収縮チューブ | 適量 | 赤 φ1.5 | ||
熱収縮チューブ | 適量 | 透明 φ1.5 | ||
配線用コード | 適量 | 耐熱電子ワイヤーUL3417-32L-2×7色 |
千石電商 |
|
熱収縮チューブφ20 | 適量 | スミチューブFZ 20.0 | ||
熱収縮チューブφ25 | 適量 | スミチューブFZ 25.0 | ||
スティックのり |
1 | 100円ショップダイソー等 | ||
待ち針、クリップ | 適量 | |||
皿ねじ M2×4 | 1 | 日曜大工店 | ||
皿ねじ M2×8 | 1 | |||
ナット M2 | 2 | |||
ワッシャ | 2 | |||
ボタン電池 | 3 | LR1120 | 電気店、amazon等 |
5 参考
プリント基板で製作した例を以下に示します。
(1)プリント基板写真
(2)プリント基板への部品装着状態